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KISMET  長編ドキュメンタリー映画

制作・監督 : 西 周成
脚本・撮影 : 西 周成
フォーマット : DV -PAL, 16mm
上映時間: 75分45秒.(2812 ft.)
出演 :  アントン・ブレジェストフスキーとアンサンブル "Caprice"、近藤秀秋と"EXIAS-J"、EMYU、Count Ash"Moon Far Away", "JACK OR JIVE"
注記ZOIE Filmfestiva2003l外国映画部門Finalist  

この映画に出演したミュージシャンたち

 

Synopsis

  この映画は3部から成り、それぞれが異なった国や都市の音楽グループを描いている。これら全ての部分を結びつけるのは、作者「私」の旅、そして通常「サブカルチャー」や「オールタナティヴ」等に分類される音楽作りをしているグループと作者との交流である。作者の映画制作、旅、そしてほとんど神秘的とも言うべき数々の偶然が、彼らの人生に有意義な出会いをもたらしてゆく。

 第一部「過去からの呼び声」では、作者が1998〜99年にモスクワで短編映画を制作していた時に出会ったロシア人の音楽家達が回想される。2002年6月に作者は再びロシアを訪れ、作曲家アントン・ブレジェストフスキーと彼の率いるアンサンブル“Caprice”と再会する。この三年間に、彼らはJ.R.R.トールキンその他の人々が描いた妖精の世界に触発されたアルバム“Elvenmusic”によって海外でかなりの名声を得るに到った。作者がモスクワに到着した時、彼らは丁度アントンの新作発表コンサートの準備をしていた。英語教師としてのアントンの日々の仕事や彼の芸術や音楽に対する理想主義的な態度、そして彼を強く惹きつける、音楽における全体主義のテーマ―それら全ての要素が、現在のモスクワの映像と音、そしてアンサンブルの音楽的実践を伴って展開される。

  第二部「今、ここで」は、東京の即興演奏家のグループ“EXIAS-J”を描いている。2001年12月、彼らは作者の三つの短編映画に触発された三つの「音響詩」を作曲・録音した。このパートでは、グループの成立や彼らが普段演奏しているクラブ、そして彼らがいわゆるフリー・インプロヴィゼーションに惹かれる理由が語られる。この未知のアヴァンギャルド音楽への案内人として在日アメリカ人フルート奏者で彼らと一緒にセッションにも参加するEmyuが、日本の即興演奏家達との出会いを回想する。そして、EXIAS-Jの若いメンバー達が、彼らの音楽観を語り、録音スタジオや劇場で、寺院で、3つの音響詩の演奏を繰り広げる。

 第三部「音楽とヴィジョン」では、作者=語り手がEXIAS-Jとの過去から戻り、ロシアでの旅を続ける。彼は極北の港町アルハンゲリスクに向かうが、そこでは有名な「ゴシック」グループである“Moon Far Away” が、市の芸術祭の初日、夏至の深夜にコンサートを催すところであった。この謎めいたグループのリーダー Count Ash が 創作における彼の信条を語る間、スクリーンには市の美術館で行われた彼らの儀式的なパフォーマンスが映し出される。

  Count Ash は作者に、彼らの最新アルバム “SATOR” を日本のグループ “Jack or Jive” に手渡すよう依頼した。Ash は彼らの音楽を通じてしか彼らのことを知らず、作者が彼らと知り合ったのもつい最近である。彼らが住む姫路への旅、インタヴュー、そして今年東京で行われた彼らのライヴにおけるユニークなヴォイス・パフォーマンスが、この最後のエピソードに含まれている。

INTERVIEW

―映画の主要な構成要素となっているのは、ロシアのゴシック・グループ『MOON FAR AWAY』と『CAPRICE』それにこの傾向の日本における古典『JACK OR JIVE』です。あなたの人生において所謂ゴシック・サブカルチャーはどんな役割を果たしましたか? 何故それに興味があるのですか?

―ある時、私は偶然、インターネットでロシアのゴシック・サイトを見つけました。その時、そこには以前、私を強く惹きつけたものの多くがあることに気付きました。北方ロマン主義の画家カスパー・ダヴィッド・フリードリヒ、ロシアの象徴派詩人達などです。私には、現代の所謂ゴシック・サブカルチャーの最良の代表者達が、広い意味での象徴主義を継承しているように思われます。象徴主義芸術全般が私に影響を与えましたが、現代のゴシック―音楽であれ、絵画であれ、映画であれ―において私が興味を持った諸要素は、全て象徴主義の中にあります―際立って鋭いフォルムと美の感覚、日常生活に対する距離感、創造行為を通じての求神(ボゴイスカーチェリストヴォ)、精神的な大変動に直面しての悲劇的な世界感覚。

―他でもない、これらの音楽家達を映画のために選んだ動機は何ですか?どうして他ならぬ彼らが映画に参加することになったのでしょう?

―彼らが私の映画に参加したと言うことはできません。私の方が、彼らの生活に少し干渉したのです。私は映画作家としてだけでなく、創造の神秘と意味を理解しようと望む一人の人間としても、最も崇高な芸術、音楽における、最も無私な創作者達を探し求め、そして直観的に彼らを映画のために選んだのです。しかし、私が選んだのは、運命によって出会いを定められていると思った人々だけでした。勿論、このことは、私達の間でその運命に対する共通の理解があることを意味するわけではありません。私達は必要な時に接触しました。私にとってはまさにそうでしたが、それは映画の撮影のためだけではありません。私の人生において真の芸術作品の作者達との出会いは大きな役割を演じてきましたし、今でもそうです。その作者達はバッハやタルコフスキーや黒澤、フリードリヒのように故人の場合もあり、モスクワのアンサンブル『CAPRICE』』やアルハンゲリスクの『MOON FAR AWAY』のように生きている人々の場合もあるのです。  (「イズベスチヤ」紙アルハンゲリスク版、 2002年8月27日付)

インタヴュー(ロシア「独立時評」紙、2003年7月24日、日本語訳)
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(New!)クリップ(HYMN)(Windows mediaストリーミングではありません)

制作・監督: 西 周成
脚本・撮影 : 西 周成
フォーマット : DV -PAL, DVCAM-PAL
上映時間: 20分30秒

出演 : Count Ash, Anastasie ("Moon Far Away"), members of "Akademiya Veterov" (Arkhangel'sk)

Synopsis

 この映画は、ロシア北部の古い港町出身のユニークな"ゴシック”バンド、"Moon Far Away"に関するものである。グループのリーダーCount Ashによれば、いわゆる"ゴシック・サブカルチャー"とはヨーロッパの神秘主義的音楽意識の名残である。彼が"ゴシック"との出会いを語り、北部ロシアの正教における"異教"とキリスト教との関係について述べてゆく間、カメラは2002年の夏至に行われた彼らのコンサートを映し出してゆく。この短編映画で作者は、「音楽の創造と人間の宗教性」という、前作『KISMET』の最後のパートで言及されたテーマを展開させている。

 

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